2024年10月6日日曜日

W1SA整備

 綺麗なW1SAがご紹介で来られて以下の問題点見て欲しいとの事。
①高速で走ってたら発電しなくなった。
②トップブリッジにクラックが入ってる。
③走ってるとエンジン辺りからカチカチ音がたまにする。
④フロントサスをストロークさせると音がする。
⑤フロントブレーキの当りが悪い。
⑥ヘッドライトがたまに消える。


①まず発電系チェック。このバイクには電圧計が付けてあるので楽ですね。エンジン始動後回転上げますが、電圧計の変化は無し。ううむ確かに発電して無いようです。レギュレーターが壊れて励磁(フィールド)コイルに電流が流れてないのかなと、ダイナモの励磁コイル端子を外して強制的にアースに落としても電圧計の値は上がりません。
どうもダイナモが怪しいという事で摘出。ありゃりゃばっちいですね。ブラシのバンド外すと・・・溜まってるのはブラシのカス?


スラッジ発掘してブラシを見てみると摩耗限界を超えて削れてます。写真上側のブラシは半分割れて欠損してました!!


ブラシのリベットまで削れてたので整流子も荒れてます。


さあ、洗浄洗浄・・・・整流子も旋盤に咥えてペーパーで整えます。後に整流子間の溝もお掃除。


ベアリング、ブラシ交換し、塗装部分も再塗装してダイナモ完成。



バッテリーに繋げて回転確認し装着。
Yカバーが開いているのでガバナー外してチェック。変な進角して②の音が出るのかもしれません。


案の定ピンが擦り減りガタガタですのでオーバーホール依頼・・・と考えていましたが、貴重な新品(右)が入手できましたのでこれに交換します。交換の際には当時物?グリスを洗って今どきのグリスで組み直し、組み付け。


ポイントもチビけてたので交換します。



点火時期調整も終わりYカバーを組み付け様としたところ、ブリーザープレートのネジが一本欠品なのを発見。他の3か所のネジも締め付けが緩いです。


念のためとオイルパン外してみると・・・・・・ガチョーン!!潰れた+ネジの頭と欠けたギアの欠片らしき物が出てきました!!


Yカバー側のギアを全て目視と触診しますが欠けは有りません。以前、ギア欠けの修理はしたがオイルパン開けなかったのか?オイルパンは当時のシール材で硬く張り付いていて、開けた形跡無いですねぇ・・・・。
ブリーザープレートのネジは新しくしてネジロック塗布しYカバー取り付け、タイミングホールからオイルを入れてフラッシングしオイルパンから排出しましたが、異物は出てこず。
オーナーにどのように進めるか確認したところ、とりあえずこのまま進めることに。

これでようやっとエンジンが掛けられます。エンジン掛けて発電電圧確認したところ、2000~3000RPMで13.5V位出てます。レギュレータも問題ないようなので発電機の修理は完了。


②のトップブリッジは入庫した時にちょうどヤフオクで出品されてたので直ぐに落札。外した物は此処にクラック入ってます。


入手した物はクラックは有りませんが、塗装がはげはげです。剥離してブラスト、塗装してハロゲンライトで簡易焼き付け。




トップブリッジ交換のついでに、④のフロントサスをストロークさせると音がする原因の探索。フォークオイルの不足かと思いましたが、規定量入ってました。フロントフォークばらしますか。
フロントフォークはメッキのやや綺麗なものを入手できたので、左右良い部品選んで組むことにします。


ストロークすると音がする件はアウタースプリングなのでスプリングが回った時に出てる音と推測。分解すると案の定ここに入るワッシャー#31とダストシール#30が有りません。スプリングが直接当たってたオイルシールにスプリングで擦れた跡が有ります。



ここの部品は残念ながら入手したフォークにも付いておらず、リプレイス品も見つかりません。仕方が無いのでワッシャーは寸法指定して特注。ダストブーツはテフロンでワッシャー状の物を作成しスプリングの回りをスムーズにしておきます。外にフォークブーツも付いているので埃は大丈夫でしょう。


塗装したトップブリッジ組んでフォーク組みますが、アウタースプリング式フォークは大変です。以前BSAのフォーク組んだ治具はW1の方が微妙に内径が広いので引っ張ったらすっぽ抜けてしまいました。
治具作り直そうかとも考えましたが、幸いフォークオイルは入れてなかったので、ボトムケースを外してインナーチューブをリアサス用スプリングコンプレッサーで縮めて挿入。後にボトムケース組んでフォークオイルをそれぞれ280cc入れてフォーク周りは終了。


ホイール外れてるので⑤のフロントブレーキの当り確認。ドラムがかつて放置されててその時下に成ってた部分が錆びて真円が出てないのではと予想してました。ドラムにチョーク塗って、パネルのブレーキワイヤの部分にネジで調整できるようにしてギリギリシューが当たるように一周させますが、変摩耗は見られず均一に当たってるようです。


ブレーキカム周りグリス塗布しておきます。フォークにホイール組んでフロント周り終了。

最後に⑥の「ヘッドライトがたまに消える」の件。
ライトケースを開けて配線を手繰るとメーターからの速度警告灯の配線は外され、ハイビームのインジケーターとして機能するように配線が変えてあります。
オーナーに確認すると機能はそのままで直してくださいとの事で進めます。
配線類を見ますが、断線が有る様には見えません。こりゃ電球の接点かもしれませんね。コネクタ、電球供、接点に半田を盛っておきます。現象が再現しないので解決したか判りません。これもオーナーにしばらく様子を見てもらう事にします。


近所を試走したところ、充電電圧も上がりますし、エンジンの異音も有りません。サスをストロークさせても異音なく、ブレーキの当りも良いようです。

試走時気が付いたタコメーターケーブル切れはオーナーさんが直す事になり納車して終了です。

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