今のZ360のブリーザーにはとりあえずワンウエイバルブを付けていますが、ちゃんと効いているのか全く分かりません。クランクケース脈動にバルブが追い付かず開きっぱなしのか、ブリーザー室からブリーザーホースの径まで絞っているのでブリーザー室内で平均化されて効果が無いのかもしれません・・・・
ちなみにオイルフィラーキャップ空けておくと結構な量の空気の出入りが有ります。
さて、クランクケース内の減圧の効果をちゃんと考えてみましょう。
N360Eは360°クランクで左右同時にピストンが上下するため、同じ排気量の単気筒エンジンと同様のクランクケース圧変化が有ります。レデューサを付てクランクケースを負圧にするとピストンが下がるときはクランクケースが負圧なのでポンピングロスが減りますが、逆にピストンが上がる場合はクランクケースが更に減圧されるためそこでポンピングロスが発生するので、ロスは行って来いで変わらないはずです。しかしクランクケース内の圧力が下がることでクランクが巻き起こす気流の抵抗が少なくなる・・・これが大きな効果ですかね。またオイルポンプ排出圧力は変わりませんが、圧力の低い所に排出するので作ったオイルジェットの出が良くなるはずです。オイル漏れも減るかな・・・・?
また、エンジンブレーキの利きが弱くなるとのレポートも有るので、一次減速スライダーの摩耗減少も期待できます。
欠点と思われるのは気圧が下がってエンジンオイルの沸点が下がるのではという懸念ですかね。
うん、差し引いても効果は有るように思えるので真剣に減圧方法を検討してみます。
圧力がブリーザー室のラビリンスで圧力が平均化する前、クランクケースからブリーザー室への入口にワンウエイバルブが付くのが一番効果ありそうですね。今度はバルブを探します。最初は2stエンジンの吸気リードバルブを調べてみますが、吸気リードバルブだと小排気量用でも大きくて付ける場所は無さそうです。模型エンジンのリードバルブも探しましたが、みんなピストンバルブでした。
市販レデューサの中からリードバルブ取り出して使うか等と考えていたところ、CRF450のクランクケースにリードバルブが付いている事が判りました。CRF450は4stなのでブリーザーのバルブに違いありませんね。写真を見ると大きさも小さそうです。そして手配。
Z360のヘッドカバーに合わせてみるとこんな感じで、リードバルブアッセンブリーそのまま取り付けるには大きいですね。
Z360のブリーザーカバーはN360用のカシメと違ってねじ留めなので、外してリードバルブだけでも付かないかと裏側に置いてみます。
ギリギリ入りはしますが、うまく動くとは思えませんね。ブリーザーカバーの一部を切り飛ばして板を溶接して取り付けようかとも考えましたが、蓋部分を新規に削り出す事に決定。
カムなどの高さ制限を考慮して色々検討・・・・・・リードバルブアッセンブリーで取り付け可能だと判断。
そしてやまが商店さんと打ち合わせする事数回。まずは樹脂の試作品を削り出しで作っていただきました。
これはロッカーアームの可動域の配慮が足りずに追加工・・・・
そしてCAD修正してもらって・・・・
樹脂試作二号・・・これで最終調整します。
そしてアルミで本削り品完成。
この状態でエンジンに仮り組してセルを回した状態で干渉が無いことを確認。
そしてブリーザー室に溜まったオイル排出用穴を追加。せっかく負圧にしたクランクケースに圧力が逃げない様φ1.5にしておきます。
ワイヤロック用穴を追加工して、ヘッドカバーに組み込んで完成。ちなみになぜワイヤロックしたかというと、ノーマルのブリーザーカバーはきつめのトルクで締まっていて、リードバルブのネジは強力なネジロックが掛かっています。外れるとヘッドにパーツが落ち、致命的な問題が出るためこのようになっていると思われます。
この状態でブレーキブースター評価で入手した負圧ポンプを繋いで引くと、バルブが震えながら排気できることを確認。
さて、評価方法を考えます。走った感想・・・・思い込みがあるので怪しい・・・・まずクランクケース内が負圧に成ったか計測したいですね。
そこでオイルレベルゲージ穴にホースを繋いでそこに負圧計を接続します。
早速取り付け前と後で計測しますが、メーター読み値に差が出ません・・・・両方ともほぼゼロ。
ところでクランクケース内圧って負圧計で計測できる圧なの?
という訳で色々ググると文献が有りました。「
クランクケース内圧制御バルブの性能調査」この文献はリードバルブではないですが、「圧力は400Paで軽く息を吐くほどの弱い物」って書いてあります。400Paはだいたい3mmHgなので負圧計じゃ測れないのでした。そこでブローバイホースにテッシュの切れ端を当てると回転数が上がるとふわっと上がります。機能はしてますね。
この圧力じゃオイルジェットでの効果ないと思われますが、まずは完成って事で。
走行時の感触も見たいのですが、しばらく暑くて乗れないので涼しくなってからですね。
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