2022年7月19日火曜日

Z360 GSブレーキブースター修理できるのか

 N360系の別体式ブレーキブースターは国内仕様では空冷Z360 GSグレードのディスクブレーキ仕様とN600にしか付いていませんでした。このブレーキブースター不良品をダメ元で良いから治れば良いな、というご依頼を受けお預かりしてたのを着手しました。このブースター・・・うちのZにもかつて付いていましたが買ったときにすでに配管が外されていて、無くとも踏めば効いてたので外して捨ててしまいましたっけ。(遥か30年以上前・・・・)


当時のパーツリスト見ても部品としてはブースターAssyで細かいパーツ設定が有りません。(#15) これじゃ構造も判りませんね。


んじゃ輸出仕様のN600はどうでしょう?海外サイトで見てみると・・・有りました。#2のタイプですね。


とりあえず部品構造は判りましたが、部品番号で調べても純正部品は予想通り国内はもちろん海外でも入手できません。

先ずは負圧ホース接続部分に近い小さな方のダイアフラムを分解しましたが、見た目では大きな問題はなさそうです。


次にマスターからピストンを外すと、中は割ときれいです。しかしよく見るとカップがワカメみたいに成っていて、ブースタープレート入口に乾いたブレーキフリュードが付いています。おそらくこいつから漏れたのが不具合の原因かと・・・・


測ると右から太い方が約22.9㎜、真ん中が約19㎜、細い方が約14.3㎜・・・・7/8インチ、3/4インチと9/16インチのカップですね。

さて、交換するにもそもそもブースタープレートに刺さっているピストンロッドが動きません・・・・固着しています。フリュードが回ってしまったからでしょう。


しばし奮闘・・・・どうにか外れました。


ダイアフラムの内側は黄色いフリュード?のカスが溜まってましたわ。ダイアフラムのゴムは問題ないようです。


パーツ洗浄の準備を始めます。最初にばらした小さなダイヤフラムが押してる部品を外します。パーツリストを見るとリレーピストンというのを押してるようです。(N600のパーツリスト#10)
出入口を塞いでエアで圧力を掛けますがびくともせず。むむむ、これも固着してました。
反対側から押すことも出来ないので、結局ピストンの真ん中に小さな穴を掘って、エキストラクターで回して引き出しました。


さてこのピストンにもカップが付いていますが、これが直径10㎜・・・・何回測ってもインチじゃないですね。11㎜のカップはバイクのブレーキマスターで見たこと有りますが、10㎜は聞いたこと無いです。

さあて、カップ捜索します。この間にパーツ洗浄と、ダイアフラムのカバーの底部分がサビていたので取り付けステーと共にブラストし、メッキはしなくて良いですとの事でしたのでカバーはジンクスプレーで塗装しておきます。


カップ径頼りで発注してみた物が入荷してきました。国産車用でそれぞれのサイズのドラムブレーキカップ入手。9/16は問題なく装着出来ましたが、3/4は買ったものが内径が小いさいのと厚すぎて装着できず。



どうしたもんかなぁと色々調査している時に、近所のガレージ66の方が別件で来訪。こんなの無いかなぁと相談したら、試しにとランドローバー用の3/4のカップを持ってきて来てくれました。なんとこれがぴったんこ♪


7/8インチのカップも国産車ドラムブレーキ用が使えたので装着。


このロッドを入れ忘れない様(備忘録)、Oリングも新調して大きなダイアフラムとマスター側が完成。これでダイアフラム中心のシャフトを手で引っ張ると前後に動きます。



10mmのカップの方はまだゴムも柔らかく、見つからなかったら再利用と考えていました。ところが、バイク用フロントマスターシリンダーのリペアキットの中に10㎜を発見し、発注。


内径も問題無さそうでしたのでこれに交換。もう一つのパッキンは特殊な形状でカップ形でないので洗浄してそのまま再利用。


さて、部品が揃ったので組み立て。



小ネジとホースは新品にしました。

マニホールドからの負圧ホースも新品に換えますが、サービスマニュアルによるとホース根元にはチェックバルブが付いているとの事。単なるホースニップルじゃありませんでした。ここのチェック方法は「バキュームホースの吸気マニホールド側を外し、口で吸ってエンジン側から吸ったときは吸えて逆に空気を吹きこんだ時は、空気が吹込めなければよい」と有ります。やってみると・・・微妙です。分解してみます。


右のゴムバルブが横になってました。それじゃ抜けますわな。洗浄して正しく組み立て。

さて、物は完成したのでこんな評価系を作ってみます。バイクのセパレートハンドル毎外したブレーキマスター、ディスクの代わりに板を挟んだキャリパー、負圧作成用掃除機、そして評価物のブレーキブースター。


このブレーキ系のエア抜きをしますが、マスター径が小さいためか難儀します。

早速試験。ブレーキレバーを握って、負圧を掛けるとレバーが軽くなるはずです。掃除機のスイッチを入れると・・・・んん?微妙。
そこで掃除機の負圧が足りないのではと調べます。


あら、マニュアルによるとアクセル調整して300mmHgの負圧で試験しろと有りますが、100mmHg切ってますね。他の掃除機で試してもこんな感じなので、ファンで作る負圧の限界ですかね。先に調べておけよって事ですよ。負圧作成方法変更です。

車載用エアポンプのDC電源を逆にかければ負圧?と思ってやってみましたが、レシプロ式だとモーターが逆転しても正転と同様にピストンが上下しバルブがリードバルブなので正圧だったり・・・負圧を作るのに悩みます。
大きい方のダイアフラムと同じようなあれ・・・トイレ詰まりを取るラバーカップを改造して負圧を作れないかと100円ショップに見に行くと、他に使えそうなこんなの発見。200円ですけど・・・


単体で500mmHgの負圧が出ること確認して、ニップル取り付け加工して負圧ホースに接続・・・



これで圧力は低く出来ますが、大きなダイアフラムを引くには何回かポンピングが必要です。
そして試験再開。ブレーキレバーを握ってポンプを引くとレバーが軽くなるはずですが、何回かポンピングが必要で一人だと手が足りません。そこでブースターに負圧を与えた状態でブレーキを握った時と、負圧が抜けたときの握力差をバネばかりで計測することを考えましたが、今度はバネばかりが5kgの物しかなくそれ以上の握力計測が必要で役不足。
結局定量的でなく感覚に成ってしまいますが、最初にポンプでブースターを負圧にして、その後何回かレバーを操作します。するとだんだん負圧が抜けてきて同じ握力で握ってもレバーの動作しろが小さくなる事で動作確認しました。


感覚的には効いています。
ステッカー貼りなおしてひとまず終了。


後は実機に組み込んで評価です。

2022年7月8日金曜日

TY250 '77が血栓で二度目の入院

 以前、シフトできないで入庫していたTY250 '77が再度入庫。2kmほど走るとエンジンが止まるとの事。
試しに走ると確かに少し走るとエンジンが止まり、この時キックするとキックが重たいです。エンジンが冷えると再度始動できるので、どうも軽い焼き付きっぽいですね。

帰ってなぜ焼き付くか原因追及。シフト修理した時にはオイルポンプを外したので、組み立て時にポンプからオイルが出るのを確認しましたが、今回アクセル全開状態でポンプギアを手で回してもオイルが出てきません。オイルタンクは満タンだし・・・・ポンプ側からホースを外してみると、普通なら自重でオイルが垂れてくるはずが出てきません。ポンプ側からエアを吹いてしばらくすると出てきました。ホースが血栓・・・いや詰まってたようです。

シリンダーを外してピストンを見ると軽く焼き付いた跡が有ります。


オーナーにはお金かけずにペーパーで磨く提案をしたところ、安心して走りたいので交換しちゃってくださいと・・・幸い付いていたのがノーマルサイズピストンでしたので、WISECOのオーバーサイズピストンがすぐ手に入ったので、これに合わせてボーリングします。


このピストンとボーリング後のシリンダーを組んでエンジン完了。

オイルタンク洗浄するとちょっとドロッとした物が出てきました。これが原因ですね。念のため血栓の起きたオイルホースも交換。


後はキャブ、コック洗浄パッキン交換して始動。マフラーからスモークも出るのでひとまず安心。試走も問題なく終了。


2022年7月6日水曜日

XR100Rポリタンク修理

 以前フレーム交換したXR100Rのオーナーが予備のタンクを入手したけど、タンクからガソリン漏れる。コック交換しようと思ったらナットが空回りして緩まない‥‥とお持ち込み。

コックの位置にかかわらずガソリンが漏れるとの事でしたので、#2のOリングが怪しいですね。


コック外すために#17のネジを外そうとしますが、タンクに射込まれているナットが空回りして外れません。仕方がないのでサンダーでボルトの頭を切り飛ばします。


この後切ったナットはすんなり外れたので、代わりのナットを入れて回すと・・・・やはり空回り。


タンク内部の角ナットが射込んである場所を確認しようとキャップ側から覗き込むと・・・・あらら・・・これの縦線はクラック??


射込んである角ナットに刺したボルトを温めて角ナットを外すと、奥にクラックが有るのが明らかです。ガソリン漏れはOリングでなく、射込んである角ナット裏のクラックから漏れてた様です。


タンクの材質確認。PE-MKと有ります。ポリエチレンですね。


充填材料を入手しなければ。赤のポリエチレンといえば灯油ポリタンクやパイロンが有りますが、これらを潰すにはもったいない。こういう時は100円ショップで物色。
ほとんどがポリプロビレン製でポリエチレンは少なく、在っても白ばかりです。店をうろうろする事しばし。見つけました!!
コカ・コーラのロゴ使用の為か200円もしましたが・・・・



工具も用意せねば・・・・調べると「ポリエチレンは融点は125℃前後で、成形温度は、180~260℃程度」と有ります。
半田ゴテを新調してコテ先ももう一つ入手、先を丸めておきます。(上)


余熱を与えるためにヒートガンの先にノズルも用意。


尖ったこて先で開先し、そこに切った100円ショップ入手した樹脂を切って入れ・・・・


ヒートガンで予熱して丸めたコテ先で溶かして埋めした。水入れて漏れ確認。ピンホールが有ったので何度か追加工が必要でした。


ところが角ナット埋め込みには周辺の温度を上げなくてはならす、真ん中のガソリン穴が歪んでしまいました。ここはOリングでコックとシーリングしているのでこれではガソリンが漏りそうです。さて困った・・・・・


そこで温め再整形出来ないかと考え、アルミ治具を作ってもらいました。そしてM6ボルトに貫通穴開けた物を作って用意します。


そしてワイヤーを通してタンク内側にあてがいますが、タンク内部形状が合わず追加工。(ナットはワイヤ留めです)


タンクを温めて治具を穴裏側からセット。そして凸型治具を入れてナットを温めながら締め込みます。


成型後。Oリングの当たる部分は面が出た様です。



フューエルコックが入る様にセンター穴加工。


この後、水入れて漏れ試験したところ角ナット部分に再びピンホール発覚。今度は穴が歪まない様治具を取り付けて、角ナット部を再び取り出し。奥の部分をコテで均して再溶着。ついでにずれていた取り付け位置も修正。


ノーマル状態よりOリング当たり面が凹んでるので、Oリング二個付けでコック取り付けます。これで漏れは解消♪ 更にエアで加圧試験しても漏れは有りませんでした。


次にコックのパッキン交換。部品取りに成ってしまったコック。コックパッキンが入手出来ればこれを直して装着します。ヤマハ用を小加工すれば使えることが判明し、カシメ跡をもんだ後にM3タップ切って組み立て。


剥がれかけたタンクのデカールも全部剥がしてとのご要望も有ったので、アセトンでふやかし削除。


完成です。